
2011-12シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ
今季も日本人選手の活躍に期待したい
今季のUEFAチャンピオンズリーグでは、FCバイエルン・ミュンヘンの宇佐美貴史やアーセナルFCの宮市亮ら、日本の若きトッププレーヤーたちが欧州中にその名を轟かせようとしている。
欧州のビッグクラブが日本人選手を獲得することに対し、冷ややかな反応で受け止められる時代は過ぎ去った。Jリーグ出身選手が近年見せている活躍により、欧州では極東の地からタレントを発掘する動きが加速している。
これまで、欧州のクラブが日本人選手を獲得することには、マーケティング効果やクラブの知名度を高める意図があると考えられていた。しかし、今では事情が一変しつつある。つい先日、FCバイエルン・ミュンヘンで初めてプレーする日本人選手となった19歳の宇佐美貴史も、欧州での成功を誓って日出ずる国を後にした。
バイエルンのユップ・ハインケス監督は、宇佐美のガンバ大阪での活躍に感銘を受けた。1989年と1990年にバイエルンをブンデスリーガ連覇に導いているハインケス監督は、この攻撃的MFについてこう語った。「若くてエネルギーに溢れ、学習能力の高い選手だ。その上、人間的にも非常に好感の持てる青年で、ハードワークもいとわない」
とはいえ、勤勉さだけがトッププレーヤーの資質ではない。宇佐美自身も、フランク・リベリやアリエン・ロッベンらから多くを吸収したいと抱負を述べた。「僕のプレースタイルはリベリとロッベンに近い」と宇佐美。「できるだけ多くの試合に出場してゴールを決めたい」
入団会見でミュンヘンに快く受け入れられた宇佐美に対し、宮市亮はアーセナルFCで同様に好印象を残そうと意気込んでいる。宮市は欧州での1年目となった昨季、レンタル移籍先のフェイエノールトで素晴らしい活躍を披露した。
オランダ・エールディビジで12試合3得点を記録した宮市は、フェイエノールトの地元ロッテルダムで多くの友情を育んでいる。そして今季、新たにロンドンでの成功を目指す18歳のウイングは、「チームに貢献したい」とコメントした。「みんなが暖かく迎え入れてくれた。チームメートは僕に話しかけてくれるけど、まだ英語がうまく話せないんです」
そうした言葉の壁も、シーズンが始まればすぐに乗り越えられるだろう。欧州各国のトップリーグで日本の存在感が高まりつつあることは、今や日本人が観る側だけにとどまらず、プレーヤーとしても欧州サッカー界の発展に寄与していることの証だ。▼今季のUEFAチャンピオンズリーグに出場する主な日本人選手
■宇佐美貴史(FCバイエルン・ミュンヘン)
バイエルンのスポーツディレクター、クリスティアン・ネルリンガー氏は宇佐美獲得を大喜びしているが、トップチーム入りにはしばらく時間がかかりそうだ。「バイエルンへの移籍は大きな飛躍であり、文化も大きく変わる」とネルリンガー氏はコメントした。「だが、彼は学習能力の高い選手だと思っている」
■宮市亮(アーセナルFC)
欧州でのキャリアの出発点となったロッテルダムで、数カ月の間にレンタル先のフェイエノールトのファンを魅了した。2010年末の時点では高校サッカー選手権に出場する一選手だったが、オランダ各紙はロナウジーニョをほうふつさせるとして彼を“リョージーニョ”と呼んだ。
■長友佑都(FCインテル・ミラノ)
レンタル先のACチェゼーナで驚きを与えた左SBは、完全移籍を果たした数日後に同じイタリアのインテルへ期限付きで移籍。春を迎える頃にはチーム内での信頼を勝ち取っていた。その後、ネラッズーリ(インテルの愛称)への完全移籍を果たしたが、お気に入りの背番号5はデヤン・スタンコビッチがつけているため、引き続き55番を着けている。
■香川真司(ボルシア・ドルトムント)
昨シーズンの初めにセレッソ大阪から加入した22歳の攻撃的MFは、新天地のドルトムントで移籍直後から大活躍。大方の予想を覆すブンデスリーガ優勝に大きく貢献。FCシャルケ04とのダービーでは、2得点するという約束を守り、サポーターのハートをつかんだ。
■本田圭佑(PFC CSKAモスクワ)
オランダのVVVフェンロへ入団した当時は注目されていなかったが、2008-09シーズンに同クラブで16ゴールを挙げ、“カイザー(皇帝)・ケイスケ”と称賛された。多くのクラブから関心を集める中、その夏にCSKAへ移籍した25歳は、ロシアで引き続き好調を維持し、さらなる注目を浴びている。
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