
岡田武史の言葉は実に面白い
とにかく想像も付かないようなプレッシャーの中を
孤独に戦い抜いてきた人間の言葉には
重み・深みがある
詳細は以下から。
追い込まれた「どん底」を経験すると腹が据わる
腹が据わり、無心になって「勘」で決断すれば間違わない
サッカー元日本代表監督/FC今治オーナー・岡田武史×松江英夫 対談(後編)より一部抜粋
岡田 私はよく、反骨心を煽るような、“ブラック”なパワーを使うんですけど、これは強烈ですよ。ものすごく。ただ長続きしないです、これは。なんか短期決戦とか、ここという時にはね、そういう“ブラック”なパワーのほうが強いときが多いです。例えばハングリー精神って言うじゃないですか。ただ、これからの時代は、特に今の日本でハングリー精神は無理ですよ。これからの時代は、おっしゃるように色々と選ぶことが出来る時代だから、違ったモチベーションが必要なのだと思います。私が大事だと思うのは、感謝からのモチベーションです。これはありがたいことだな、だからこういうことをしようとかね、この人のお陰でこうなっているから、こういうことをしようとか、そういう時代に入っていくと思います。私はどっちかいうと、ブラックなパワーが強烈なところがあって、「この野郎」と思って上がってきた。でも、それは長く続かない。最近は、どこかに感謝することとか、パワーになるんだなと感じてるんですね。これからハングリー精神に代わっていくのは、そういうものなのかなと思います。FC今治オーナーとしての夢の話もなかなか興味深い
今治の町が今後どのように変わっていくのか非常に楽しみだ
岡田 今治でやると決めてからは、いろんな妄想がどんどん浮かんできました。FC今治だけが強くなっても、それじゃつまらない。地元の少年団、中学校のサッカー部、高校のサッカー部と一緒になって一つのピラミッドをつくる。もう高校は全部回って、先生方に、うちからコーチ派遣しますよとか、いろんな交流をやりましょうと。私は向こうにちょっと大きな家を借りて、自分のリビングをカフェ・ド・オカダにして、サッカー仲間が夜な夜なみんな、どんな少年団の指導者でも誰でもいいです、そんなみんなでビデオ見たり、酒飲んだりしながらサッカー談義をするような場にします、とか。そういうようなことで、全体で一つのピラミッドを作る。
その頂点にいるFC今治のトップチームが面白くて強くなれば、おそらく全国から育成に入る。もう来ているんです、実は、育成に入りたいという子ども達が。いや、アジアからも来るでしょう。そして指導者も、勉強したいといって、これもたくさん来ていますけど、アジアからも来るし。私は妄想するんですけど、そうやっていろんな人が集まって来るなら寮をつくらずに、おじいちゃん、おばあちゃんしかいなくなったところにホームステイさせてみたり。そしておじいちゃん、おばあちゃんが、この子らの料理をどうしたらいいんだと料理教室したり、英会話教室とかと妄想が広がっていく。いろいろ考えていると気がついたら人口17万人の今治が、ほんとにコスモポリタンで、みんなが生き生きしてるような町にならないかな、と。そういう夢を語ってたら、いろんな人が協力してくれるようになってきました。あと、スタジアムをつくったり。ヨーロッパに行ったら、必ずドーモ広場とか、町に大きな広場があるんですよ。優勝したらそこで集まる、何かあったらそこへ集まる。ところが日本にはそういう場がない。スタジアムを町のそういう場にするような、そういうものをつくりたいとか、どんどん広がってきています。
- 関連記事
-